【医師監修】ワキガかな?と思ったら…手術の種類や治療方法について
独特のニオイを発するワキガ、もしかしたら自分はワキガかも?と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ワキガといっても、治療や手術方法はワキガの程度によって様々です。ワキガに関する治療や手術、病院選びのポイントなどをご紹介しますので、参考にしてみて下さい。
2018年12月13日更新
記事の目次
[1]もしかしてワキガかも?
汗をかいた時に気になるのがそのニオイ。汗臭いのも困りますが、さらに困るのはツンと鼻につく独特なニオイのするワキガです。自分では分からないけど、もしかしたらワキガではないかと不安に思っている方も多いのではないでしょうか?
そもそもワキガって?
脇には、アポクリン腺とエクリン腺の2種類の汗腺があります。アポクリン腺から出る汗には脂質やタンパク質、アンモニアなどの成分が含まれていいます。これらが皮膚の表面に存在する常在菌によって分解されると、あの鼻につく独特のにおいが発生するようになっています。これがワキガのニオイになっているのです。
ワキガのセルフチェック
自分のニオイは毎日自分が嗅いでいるので、鼻が慣れてしまい、ワキガと自覚出来なくなっていることがあります。以下にワキガの主な特徴を挙げたので、いくつ当てはまるかチェックしてみましょう。
●両親、兄弟にワキガの人がいる
●耳垢が湿っている
●服の脇の部分が黄ばむ
●毛深い
●わき汗の量が多い
●腋毛に白い粉がついている
上記はあくまで目安なので、当てはまったからといって確実にワキガ体質というわけではありません。
ワキガの治療は手術しかない?
ワキガの治療には、ニオイの原因となるアポクリン腺を取り除くことが一番ですが、軽度であれば飲み薬や塗り薬などの対策で効果が得られることがあります。ワキガだから手術しないと!と焦らず、まずは専門医によるカウンセリングなどを受けるようにしましょう。
[2]ワキガの手術って?
一般的に、ワキガの治療は皮膚科や形成外科、美容外科などで行われています。
手術の流れ
ワキガと言っても、人によってニオイの強さなど症状は様々です。ワキガの程度によって、治療法が変わることがあります。ここでは基本的な手術の流れをご紹介します。
1.診察、相談、カウンセリングを受ける
ワキガについて受診したことがない場合は、まずは皮膚科や形成外科に行くことをおすすめします。病院では、問診や医師による脇のにおいの確認などで診断されることが多いようです。
診断の結果からワキガのにおいの強さに合わせて治療にうつります。ワキガの程度が軽い場合は手術ではなく、外用薬などを処方され、様子を見ることもあり、場合によってはその後、別の治療や手術にうつることもあるようです。
また、ニオイを気にするあまりにニオイに敏感になり過ぎて、自分ではワキガと思い込んでしまっている場合もありますので、ワキガではないという診断をうけることもあります。
2.専門の治療や手術を受けるか判断をする
ワキガの程度に合わせた治療や手術がどの様なものか、しっかりと医師に確認し、納得した上で専門の治療や手術を受けるか判断しましょう。
3.手術を受ける
ワキガの手術には様々な方法がありますが、ワキガの程度や意向に沿った治療や手術を相談しながら決めていきます。治療や手術の方向性が決まれば、実際に治療や手術にうつっていきます。
4.アフターケア
手術の内容によっては、術後の抜糸や経過の確認が必要な場合があるので、アフターケアが行われることがあります。医師の指示に従いましょう。
手術・治療方法
ワキガの手術や治療方法は様々なものがあります。実際に治療や手術を受ける場合は、医師からの説明をしっかり聞き、メリット・デメリットを把握しておくようにしましょう。不明な点や気になることがある場合は質問をして明確にしておくと安心です。
■ボトックス注射
ボツリヌス菌から抽出された、たんぱく質の一種であるボトックスを脇の下に注入することで汗腺の活動を抑制し、汗量とニオイを抑える治療方法です。ワキガが軽度であれば効果が得られるとされています。メスを使う手術ではないので、傷跡は残らず、施術時間も短いのが特徴です。
■レーザー治療
汗とニオイの原因である汗腺にレーザーを直接照射して破壊する方法です。傷跡がほとんど残らず、肌へのダメージも少ないとされています。
■電気凝固法
電気凝固法は細い電極針を脇毛の1本1本に刺して直接毛根へ高周波電流を流し、熱凝固させます。アポクリン腺・エクリン腺が熱凝固で破壊されることで、ワキガ症状を抑える効果がありますが、もともとは脱毛として考案された方法のため、ニオイの軽減はできても完全にニオイがなくなることはありません。
■直視下手術法(剪除法)
直視下手術法は脇の下をメスで3~5cmほど切開して裏返し、脇の皮膚の裏側についているアポクリン腺や皮脂腺を目視しながらかき出すようにして取り除きます。ワキガが重度の方に向いているとされています。
■非直視下手術法(皮下組織吸引法)
美容外科で行われている脂肪吸引のように、吸引機を使ってアポクリン腺やエクリン腺、皮脂腺を吸引する方法です。皮膚を大きく切開せず、小さな穴をあけるだけなので、傷はほとんど目立ちません。手術をしてもアポクリン腺の完全除去は困難なことが多く、ニオイが完全に消えることはありませんが、軽減することができます。
■マイクロウェーブ法(ミラドライ)
皮膚の表面からマイクロ波(電磁波)を照射することで、汗とニオイの原因である汗腺を破壊する方法です。メスを使わないので傷跡が残ることはありません。
費用は?保険は適用される?
ワキガで病院にかかった場合、高額になるイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。自由診療であれば保険は適用されず、高額になってしまいますが、保険が適用される場合もあります。保険診療を認めている病院や、保険適用が認められた手術であれば保険適用になる場合があります。
美容外科や美容クリニックなどは美容目的での治療であるため、自由診療になる場合が多いと言われています。保険適用を希望される場合は利用する前に事前にチェックしておきましょう。
治療や手術によっては保険適用が認められていないものもありますので、受けようとしている治療や手術が保険適用になるか、前もってチェックしておくことをおすすめします。また、保険適用の腋臭症手術は、加入している医療保険によっては手術給付金が出る可能性があります。
医療保険に加入している場合は一度問い合わせてみましょう。治療費用が医療費控除の対象となることもありますので、詳しくは病院や税務署などに問い合わせてみましょう。
何歳から受けられる?
ワキガの手術は特に年齢制限が設けられている訳ではないので、小学生でも受けられることがあります。しかし、手術でしっかりアポクリン腺を除去できたとしても、成長するに従って新しくアポクリン腺が作られる可能性が高く、ワキガが再発すると言われています。
手術はやっぱり痛い?痛くない方法もある?
脇を切開することのない方法であれば、痛みを軽減することができます。痛みが伴う方法かどうか、気になる場合は必ず医師に確認してから治療や手術に移りましょう。
術後は?傷跡は残る?
術後の抜糸や経過の確認が必要な場合があるので、アフターケアが行われることがあります。また、切開するような手術の場合は傷跡が残ってしまいますので、しっかりと理解した上で手術を受けるようにしましょう。
悪化や再発もある?
手術でアポクリン腺を取り除いても、また新しくアポクリン腺が作られたり、取り損ねたアポクリン腺が再生する可能性があるためワキガが再発してしまうことがあります。また、手術を受けたのが思春期(10歳から20歳頃)であれば、再発の可能性はより高くなります。
また、ワキガの重症度によっては向かないものもありますし、術後の状態の持続性は方法によって様々です。治療や手術の前によく話し合い、施術後のギャップを防ぐことをおすすめします。
子供に遺伝することもあるワキガ
手術でワキガのニオイがなくなったとしても、ワキガは優性遺伝のため、自分の子供に遺伝してしまうことがあります。
片親がワキガの場合、遺伝する確率は50%から75%、両親ともにワキガの場合、確率は75%から93%と言われています。お子さんが思春期にワキガの症状が出た場合は、親子で協力して出来る限りの対策やケアを心掛けましょう。
病院選びのポイント
病院を探す際にチェックしておきたいポイントをご紹介しますので、病院を選ぶ際の参考にしてみてください。
・医師やスタッフの対応が親切で丁寧である
治療や手術を受けるのであれば、患者さん1人1人と丁寧に向き合う姿勢が感じられるような医師にお任せしたいですよね。実際に診察やカウンセリングを受ける際など、不安や疑問に思ったことに対して真摯に答えてくれるような医師であれば、こちらも安心してお任せできるのではないでしょうか。
・デメリットも説明してくれる
方法によっては痛みが伴うことや傷痕が残ることなど、デメリットもしっかり説明してくれるところの方が信頼できます。デメリットを踏まえた上で治療や手術を受けられるので、術後のギャップを防ぐことができます。
・話をしっかり聞いてくれる
治療や手術を受けるにあたって、痛みや時間、料金、術後の状態など、気になることは多く出てきます。ワキガの程度に合わせた治療を決めるのは医師ですが、患者の気になる点など話をしっかり聞いてくれるかどうかも、注目したいポイントです。不明点をはっきりさせて、自分できちんと納得した上で治療や手術に臨めることが望ましいです。
[3]まずはしっかりカウンセリングを受けましょう
ワキガのニオイに悩まされている場合、まずは専門の医師にかかり、カウンセリングを受けてみましょう。ニオイに敏感になり過ぎてワキガだと思い込んでいたりする場合があります。
また、軽度であれば切開を伴うような大々的な方法を選ばずに、ニオイを軽減することも出来ます。ニオイが軽減されれば、ワキガによる悩みを軽減することが出来るのではないでしょうか。ワキガだから手術と焦らずに、専門の医師によるカウンセリングを受け、どんな治療法が選択できるか相談してみましょう。
ワキガの治療や手術には様々な方法があります。治療や手術を受ける場合は、それぞれのメリット・デメリットを十分に把握し、自分でしっかり納得した上で治療や手術を受けるようにしましょう。